日本遠隔医療協会ワークショップ(2016/9/18)①遠隔医療の視座

写真はパネルディスカッションの(出典:日本遠隔医療学会)

 

9月18日(日)に、特定非営利活動法人日本遠隔医療協会主催で「遠隔医療ワークショップ 『遠隔診療の意義 と社会的位置づけを見極める - ニーズとシーズのマッチング – 』」が開催された。(日本遠隔医療協会のリンクはこちら)

本記事を皮切りに、シリーズ記事として紹介する。

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まず、日本遠隔医療協会の長谷川高志氏より 「遠隔医療の視座」と題して、これまでの遠隔医療の流れについての講演があった。長谷川氏は、日本の遠隔医療の草分けの1人であり、長らく遠隔医療の発展に貢献してきた。以下にその概要をまとめる。

<遠隔医療について>

遠隔医療の議論は、1996年の医師法解釈通知が起点となって始まった。その後、様々な議論があったが、2015年8月10日の医政局の事務連絡により、僻地医療以外でも、直接の対面診療と適切に組み合わせることを前提に遠隔診療が事実上厚労省により認められることになった。

2015年の通知を受けて、現在、遠隔医療への参入事業者が増えてきており、ブームとなっている。前回の遠隔医療のブームは、7〜8年前のことであったが、長谷川氏によれば、現在のブームは前回のブームと比べて参入事業者の顔ぶれが全く異なるという。その理由として、以前は、モバイル機器がより高価で、参入者が限られていたことを挙げていた。

確かに、スマートフォンが普及している今、個人でも簡単に情報の取得、通信が出来るようになっている。昔はテレビ電話と言っていたものは、SkypeやFaceTimeのようなリアルタイムの動画通信で携帯で誰でも出来るようになっている。PCで行っていたチャットもアプリのメッセンジャーで事足りる。

<遠隔医療の期待と課題>

しかし、遠隔医療への期待はあっても、それが本当にどれだけ価値のあるのかについては、しっかり検証がされていないのではないか、と長谷川氏は現状の課題を述べる。

新たな参入事業が増えてきて、やっと価値や有効性の議論を出来るようになってきたようだ。テレビやメディアでも遠隔医療が取り上げられるようになったが、結局医療のどの領域の話なのか曖昧なまま話されている印象を受けると言う。

遠隔医療と言った時に、どんな手法・原理を用いて誰にどのように提供するのか、について議論が十分になされておらず、具体的価値への共通認識が足りないのだ。「遠隔で本当に(診療行為をして)大丈夫なのか?」「事故やクレームは無いのか?」と懸念の声が今後挙がる可能性もある。

確かに、スマートフォンやPCの画面を用いて診察すれば、なかなか病院に来られない方も診察することが出来て、一見便利で有効性があるように見える。「良くなるはず」「つながって便利なら良いはず」と。

しかし、もしも、直接対面するだけの方が患者さんの診療を正確に行えるというのであれば、遠隔医療にどれだけ意味があったのだろう、という話になりかねない。今後、各事業者が、様々なトライアルを行って、医学的な価値が検証していく必要がある。

<遠隔医療の制約>

遠隔医療は制約も多い。まず、遠隔医療はそれ単体では診断や治療が完結しない限定的な行為である。指導や管理、モニタリング、トリアージ等に価値が限定される。また、遠隔医療を長く継続する為のリソース・財源も重要である。診療報酬以外の+αの財源をどこにおくかを考える必要がある。

例えば、診療行為以外のサービス料をPaypalやカードで支払うなどが考えられる。診療報酬を財源にする時、文言によってはミスリードする危険性もはらんでいることを注意する必要がある。

長谷川氏の講演を受けて、次回以降、どんな事業者が参入してきているのか、個々の事業者についても紹介する。

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