東大研究室発ライフサイエンスベンチャーLPixelが、総額7億円の資金調達を実施

先月、ライフサイエンス領域の人工知能・画像解析ソリューションを提供するエルピクセル株式会社が、株式会社ジャフコが運営管理する投資事業組合、Mistletoe株式会社、東レエンジニアリング株式会社、個人投資家を引受先とした第三者割当増資により、総額7億円の資金調達を実施した。

<これまでのエルピクセルの実績>

エルピクセルは主に、国内研究機関や医療機関向けの画像解析ソリューションの受託開発を行い、着実に評価を高めてきた。創業初期より技術者を集めており、難しい画像解析の案件にも答えてきた。

研究者としての知見と先進技術を併せ持ったエルピクセルのソリューションは全国の研究機関や医療機関を中心に多数の採用実績があり、日本と米国では特許を取得している。

多様な生物医学画像を自動分類するソフトウエア「カルタ」の開発に成功 –画像診断の高速化や省力化などに貢献–(科学技術振興機構 2012/8/29)

また、本年度は、政府の研究プロジェクトに3件が採択されており、エルピクセルはライフサイエンス領域における研究開発で世界で戦える足固めをしている。

今回の資金調達により、自社製品の開発、画像診断ソリューションの研究開発、また、海外を含めた事業展開を更に進めていく。現在開発している自社製品の中には、ライフサイエンス研究の高度化・高速化を支援する「IMACEL」が挙げられる。また、癌などの疾患を高精度で検知する画像診断ソリューションの研究開発強化も行っている。

また、今年4月には、学術系電子書籍等を扱うグローバル企業のiGroupとジョイントベンチャーを設立する契約を結んでおり(プレスリリース)、今回の資金調達を足がかりに、自社の画像解析ソリューションの海外展開もさらに進めていくものと考えられる。

<資金調達の背景について>

生理学研究所と基礎生物学研究所が主催する「先端バイオイメージング支援プラットフォーム」 では、顕微鏡画像、MRI画像等を用いた研究支援を行っている。

生理学研究所と基礎生物学研究所が主催する「先端バイオイメージング支援プラットフォーム」
では、顕微鏡画像、MRI画像等を用いた研究支援を行っている。

ライフサイエンス領域における画像データは増加の一途をたどっているが、画像を扱う研究者や医師の体制や教育機会は十分ではないのが現状である。医療現場では、放射線科医や病理医の人数は慢性的に不足しているし、研究目的で顕微鏡画像やMRI画像などを扱える研究者の数は限られている。

エルピクセルは前身である東京大学の馳澤研究室時代から、膨大になっていた画像解析の作業を請負ってきたが、数年前に研究室のメンバーを中心として起業してからは、ビジネスの受託案件として画像解析を行ってきた。

(出典:馳澤研究室HP)

(出典:馳澤研究室HP)

創業以降は、国立がん研究センターや全国の医療機関と共同研究を実施し、画像解析ソリューションの開発実績を蓄積してきている。その為、ライフサイエンスの画像解析では国内屈指のノウハウを持っていると言えるだろう。

今回調達した資金は、これまでの実績を踏まえて、さらに洗練させたより高度なソリューションをより早く、より多くの国内外の機関に提供するための研究開発ならびに展開体制強化に活用するという。

今回資金調達の引受先の1つであるMistletoeは、主にハードウェア系スタートアップを支援しているが、心停止発生現場に素早くAEDを届けて救命率を向上するためのシステムとアプリを開発するCOAIDOや、医薬品、ワクチン、輸血用血液を運ぶ小型飛行機を開発するziplineなども支援しており、医療系事業の支援も行っている。

<東レエンジニアリング社との事業提携について>

今回の資金調達と併せて、エルピクセルは、東レエンジニアリングと人工知能を活用した画像解析技術の研究開発に関する包括提携契約を締結した。細胞などの生物の工業製品化を見据え、双方の強みを活かしながらライフサイエンス画像解析技術の開発や実用化に取り組んでいくという。

東レエンジニアリング社は、東海大学発のベンチャーであるバイオメッドコアと提携し、マイクロ化学プラント(リボソーム連続製造装置)を開発している。エルピクセルは元々生物系の研究室発のベンチャーなので、こうしたバイオ系の事業と相性がいいと考えられる。

<参考URL>

東大発ベンチャーLPixel、総額7億円の資金調達を実施~ライフサイエンス・医療分野における人工知能・画像解析事業を加速~(PR TIMES 2016/10/24)
【プレスリリース】総額7億円の資金調達を実施いたしました。(LPixel 2016/10/24)
日本の画像診断②〜CT, MRI台数, 撮影回数のOECD諸国との比較〜(LP-Tech 2016/10/2)

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