理研が4月から大規模実験:人工知能を用いた医療データの統合解析

(出典:PMI Facebookページ)

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SankeiBizによれば、人工知能を用いてがんや認知症などの治療データを解析し、患者ごとに最適な医療を提供するための実証実験が4月から理化学研究所で開始するそうだ。

同記事によると、医療機関や製薬企業と連携して治療や創薬などを総合的に進める国内初の試みになると言う。

実験は東京大学や大阪大学等の各病院など全国数十の医療機関、製薬企業、ヘルスケア企業が参加。医療機関が蓄積する数万人規模の治療データのほか、数百人の患者に小型センサーを装着させ、運動量、心拍数、睡眠等の日常生活のデータを理化学研究所の人工知能を用いて解析するそうだ。症状や生活習慣を解析し、患者ごとに最適な投薬、検査、介護方法を見つけ出す。

理研の実験では、がんや精神疾患、免疫病を主な対象にしているという。恐らく、人工知能による解析は革新知能総合研究センターが中心になると考えられる。

<Precision Medicineとは?>

医療データを大規模に集めて、患者にとって最適な治療法、予防法を確立し提供する取り組みをPrecision Medicineとよぶ。個別化医療(Personalized Medicine)でも、バイオテクノロジーに基づく個別診断と、治療に影響を及ぼす環境要因を考慮し、個々人に適した治療法を抽出・提供するが、患者一人一人に即した個別医療となるため、医療コストがかさむことが問題である。Precision Medicineと比較するには、以下の記事が分かり易い。

Precision Medicine:株式会社日立総合計画研究所

Personalized Medicineを国民に適用させていくことは、医療コストの膨張につながり、費用対効果の観点から極めて非効率といえます。一方、Precision Medicineは、患者を“特定の疾患にかかりやすい集団(subpopulation)”に分類し、その集団ごとの治療法のみならず疾病予防を確立し提供していくものです。(株式会社日立総合計画研究所より)

このPrecision Medicineは、2015年にオバマ大統領が一般教書演説の中で取り上げており、Precision Medicine Initiativeという取り組みを始めると述べた。

<日本での取り組みは?>

日本でも、SCRUM-Japanという希少肺癌、大腸癌の遺伝子異常スクリーニングの研究(2015年2月2日~2017年3月31日予定)が行われており、10以上の製薬企業と200以上の医療機関が参加している。

今回の取り組みでは、癌だけでなく、精神疾患や自己免疫疾患なども対象にしており、より広範な疾患を対象にしており、平成32年の実用化を目指しているという。

患者が医療機関にかかった際、医師は、限られた時間内で一人一人の患者様と対面診療しなければならない。疾患ごとのガイドラインがあっても、経験則のなかで、個別の事例にも対応していかなくてはならない。Precision Medicineが実現されれば、予め、患者の疾患に「目ぼし」をつけ易くなるだろう。

昨年は、人工知能が患者の命を救った事例も生まれた。今後、更に人工知能の威力が医療現場で発揮されるようになるだろう。

<参考記事>
アメリカのPrecision Medicine Initiative(日本製薬工業協会)
国がん、「Precision Medicine」への挑戦状(日経デジタルヘルス 2016/7/21)

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