「世間話」が強みになる:こころみの試み

内閣府の平成28年の調べに寄れば、65歳以上の高齢者のいる世帯は全体の約45%にのぼり、うち、単独世帯が約1/4、夫婦のみの世帯も含めるとおよそ半数になる。

高齢者のみの世帯の見守りを、誰が行うのかが、1つの社会問題となっていると言える。

知り合いの医師から聞いた話をする。その医師は、関東で働いていたが、母を四国の実家に1人にしていた。高齢で足を不自由にしており、あまり人通りの多くない古い家なので、孤独死していないか確認する為にヘルパーに毎週来てもらい、たまに里帰りしていたが、限界を感じ、地元のケアハウスに入所させた。

ケアハウスに入って数年経った頃、あまり元気が無くなってきたことに気づく。ケアハウスという慣れない環境にいることがストレスだったのか、外出もなかなか普段出来ない為に、足腰も弱ってきたのかも知れない。今は、医師が勤務している駅の近くのケアハウスに移転し、いつでも見守りに来れる体制を整えたが、その人は、早めにそうすればよかったと、少し後悔しているという。

一人暮らしをしている父親、母親が普段元気でいるか気にかかる。普段の状況が分かるコミュニケーションツールがあれば、、

こころみのサービスは、高齢者の見守り問題に真っ向からアプローチしていると言えるだろう。

こころみのサービスは大きく2つ。会話型見守りサービス「つながりプラス」と、親のための自分史作成サービス「親の雑誌」だ。

「つながりプラス」では、専属のコミュニケーターが一人暮らしの親御さんと毎週2回電話を行い、その電話のやりとりをその日のうちに家族にレポートとして送り届ける。

社内で独自のトレーニング方法を構築し、より日常会話に特化し、誰でも、どんな状況でもじっくり話を聞ける傾聴スキルを高めることで、「世間話コールセンター」としての役割を確立してきたようだ。

 

HPでの紹介を見ると、以下のような内容になっている。

8月1日 13時15分から10分間、○○ △△様とお話させていただいた内容をご報告いたします。
今朝、風邪気味で病院に行かれたというお話でした。少し鼻声のご様子でした。

お話の内容

こんにちは。
暑いですねえ。今日は、もう30度を超えてますよ。まったく。
雨のあとだから蒸し暑いですねえ。でもうちのほうくらい山になると、夜は20度くらいまで下がって、温度の差が激しいんですよ。
今朝方、風邪気味だったので病院に行ってきました。でもまあ、お医者さんの言うには、熱はなくて、たいしたことないのでっていうことで。漢方薬だけもらってきて、飲んだら少し楽になったような気がしますよ。
ええ、でも無理は禁物だと思うので、しばらく外出を控えめにしようと思います。
体は大事にしないとねえ、ほんとに。(以下略:出典はつながりプラスのHPより)

要約やまとめではなく、話し言葉そのままのレポートになっているため、親御さんの様子が手に取るように分かる。

競合としては、NTTマーケティングアクトや、SECOMALSOKのようなホームセキュリティサービスがある。

これらのサービスは、人感センサーによる緊急対応体制をもっていたり、医療者との遠隔相談を行える体制を整えているが、コミュニケーションに関しては月1回であったり、週1回であるなど、つながりプラスほど頻度は多くない。

こころみは、「世間話コールセンター」の立ち位置をより鮮明に出していくだろうと考えられる。

もう1つのサービスが、「親の雑誌」だ。

(出典:親の雑誌)

(出典:親の雑誌)

「親御さんの人生の振り返りや思い出を一冊の雑誌形式でまとめる、親のための自分史作成サービス」と銘打たれたこのサービスは、「世間話コールセンター」の蓄積を終活サービスにうまく活かした取り組みだと筆者は感じた。

これまでの何十年と言う歳月を一度に思い返すのは難しく、自費出版はハードルが高くなるかも知れない。一方で、出版社に取材や原稿校正などをお願いする場合60~100万円以上はかかってしまう。(朝日新聞社の例)

「親の雑誌」は、つながりプラスのコミュニケーターが、親御さんの話を引き出し、3ヶ月の製作期間を経て、16ページのフルカラー雑誌を5冊届ける。料金は、7万円と他社サービスと比べても非常に安価である。(増刷は1冊につき1800円)

東日本大震災以降、自分史の制作に関心が高まっており、自分史フェスティバルなどの大々的なイベントが開催されている。特に高齢者にとって、自分史を作ることは、終活にもつながる為、より意義が大きくなるだろう。

2つのサービスを展開する株式会社こころみ。昨年3月に、経産省主催の「ジャパンヘルスケアビジネスコンテスト」で優秀賞を獲得し、事業展開も更に加速していくと考えられる。

<参考URL>
会話型見守りサービス:つながりプラス
親の雑誌
「聴くこと」が持つ力(医心:2016/12/27)
2016年を振り返って

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